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[5236-昔は隣組 今は町会](週末独り言(2月第3週))
以前、京都四条で『“ 隣組”〜助けられたり助けたり〜』という企画展を見ました。
戦中、昭和15 年(1940)9 月、内務省により町内会・部落会の整備拡充がはかられるとともに、
その下位組織として「隣組(隣保班)」が組織化されました。
隣組は行政の指示により、配給切符の割当や防空活動、資源回収などといった活動を行い、定期的に「常会」が開かれ
組内の意思疎通の機会を設けるなど、戦時体制下での国民生活の基盤となる活動をしていました。
一方で、隣組は組員同士の監視、思想の統制などといった、個々の生活を窮屈に感じさせる側面も併せもっていました。
企画展では、実物資料、音響資料などを通して、戦時下の隣組の活動を紹介していました。
まあ、隣組は今となって「町会」「自治会」として役割を継承しているわけですが。
この「町会」の活動が地域コミュニティを支えている台東区について少し書いてみます。

まあ、日本全国、「町会」や「自治会」はあるわけだから、何処でも似たり寄ったりですが。
特に台東区の事象を眺めることによって、地域コミュニティの課題が浮き彫りになってくるかもしれません。

たとえば・・・

台東区の多くの町会では規約などが設けられていて、町会長や理事などは月1回開かれる理事会で情報交換。
会費など金銭に関わる業務もあるため、会計報告が義務づけられたりしています。
一応組織らしくなっているものの、じゃあ一体何をやる組織なのかとなると、
関わったことがない人はほとんど答えられないんじゃないでしょうか。
お祭りで各町会が神輿を出したり、夏に盆踊りをやったり、ごみ収集場所の掃除を持ち回りでやったり、
そんなことぐらいしか思い当たらない方も多いかもしれませんねえ。
多くの町会の規約の「目的および事業」というところには、保健衛生、福祉、防犯・防災、祭典関係、
青少年関係、慶弔、その他などが書かれていますが、なかなか理解し辛いでしょう。

しかし年次予定表で関連行事を見てみると、各号地の班長・部長がやることだけでも少ないとは言えない仕事があります。
月に2回くらいは回ってくる回覧板の管理にはじまり、日本赤十字の社費、町会費、神社のお祭りの奉納金、
共同募金など、それぞれ住民の義務とまでは言えないようなお金の集金に至るまで。
交通安全運動、年末の夜回りなどを含む防犯・防災関連の運動など。
そして警察や消防に関わる、しかしどんな効果があるのかはやや疑問なキャンペーンへの参加も。
緑化、美化清掃、リサイクルなど悪いことではないけれど、どうして町内会が主体となって進めるようになったか。
そんな、疑問も残る地域活動も確かにあります。
地域の小中学校の入学式への会長・理事の参加や餅つき大会など、
青少年対策として行われるコミュニティセレモニーもあります。

そんな町会ですが、そもそも何の行政権限も持たない組織だから加入の法的義務さえないという難点もあります。
こういう活動に関心がなかったり、家族揃って毎日夜が遅い多忙な家などは、
日中各戸を訪ねる必要がある持ち回りの班長の活動だってこなせないわけで。
マンションなど集合住宅の場合は、家主や管理会社名で加入するだけで町会活動に関わることもないばかりか、
おそらくまとめて徴収されている町会費が何に利用されているかすら知らないのだと思います。
一応、各町会では毎年・・・会計報告結果を回覧などで会員の皆様に配布しているのですが・・・。
加えて最近はコンビニエンスストアとかファーストフード店など、全国チェーンのお店が地域出店している場合も多く、
町会費の収集で班長・部長が訪ねていっても雇われ店長に相手にされなかったり。
わずかな金額のために本社総務部の決済が必要だったり、と面倒なケースも増えてきています。
神社やお寺のお祭りの奉納金や募金の類を町内会がまとめて集めようなどという時に、
宗教や思想上の理由から拒否すること人は当然はいるだろうと思われますが。
集合住宅の増加や大手チェーン店の進出といった新しい要因が、円滑な町内会活動を妨げているのも事実です。

さて、そんな自治活動である「町会」・・・

新しく台東区に引っ越されてきた方などは、どのような視点で眺めていらっしゃるのでしょうか。
確かに、関わること自体が面倒だと思う方もいるかもしれません。
しかし、地域にいる区議として思うのは、この町会組織の人間的な繋がりが人生の中で意外に大きな助けになるということ。
たとえば、近隣トラブル、災害時の一助、生活に必要な各種情報交換・・・など沢山。
さらに書けば、警察や消防、自治体といった公的機関からも町会参加者は庇護を受けている事が多いのです。
それは、金銭的な庇護という意味ではなく、日頃からの地域活動で培った”馴染み”によって、
「ああ、○○町会の●●さんね」などと事故・事件・災害時の初動における情報確認が早いということも。
これは一見、なんの変哲もないことのように思いますが。。。
人的な繋がりがあるということは、本当に多くの面で「社会からの意識下の庇護」を受ける源となるのです。
話が回りくどくなりましたが、どうか皆様・・・地域コミュティの繋がり・・・絆・・・大切になさってください。
きっと、「堀越が言った通りだった」と思ってくださる日が来ると思います。

  天災は忘れた頃にやってくる、その時、町会は”人の絆”を気づかせてくれます。

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